大流行した性格診断も、ゆきすぎたらハラスメントに。
前回は、日本でもっとも流行した一例として、ABO式血液型分類による性格診断をあげました。
流行しはじめた1970年代から2000年代前半に至るまで、かなりのロングランヒットとなった血液型による性格診断。
ながらくさまざまな場面で活用され、恋愛・結婚における相性や仕事ぶりに対する評価にすら、参考にされてきたほどでした。
なかでもとりわけB型が偏見に近い差別を被ってきたことは周知の事実ですね💦
B型=自己中、ワガママ、気分屋、ふりまわされるといったイメージがやたらと広まり、「B型だと思った」の一言で深く傷ついた体験をした人が少なからずあるようです。
『B型男はクズが多い』『恋人や夫に選ぶべきではない』といった内容の記事が、女性誌などでもよく取り沙汰されていました。
そのため『血液型は尋ねられるのも答えるのもイヤ!』といった拒絶反応を抱えるB型男性は、中高年以上にはかなりあるようです。
いまではABO式血液型によって相手の性格を分類し、差別的な言動をとることをブラッドタイプハラスメント、略してブラハラと呼ばれます。
「A型なのに几帳面じゃない」「O型だけどおおらかじゃない」といった言い方も、受けとめる側はイヤな気持ちにさせられます。
かつては当たり前のように、履歴書に血液型記入欄がありましたが…
いまでは、面接の場で血液型を尋ねることも、『ブラハラ』案件として注意されるようです💦
世の中、いろんなハラスメントが問題にされるけど…
血液型によって性格を決めつけられるのも、たしかに不愉快かも⁉︎
だれもが「だれにも当てはまる」ことを自分のことだと信じてしまう⁉︎
16personalitiesやABO式血液型診断に限らず、心理テストや占いなどでも起こりえるのが『バーナム効果』という心理現象です。
バーナム効果とは、誰にでも当てはまることをあたかも自分のことだと思い込んでしまう、心理的傾向のことを指します。
たとえば占いでは「あなたは最近、深い悩みがありますね」「それは他人に言えない秘密でしょうか?」などが、初対面での第一声に使われがちです。
それによって相談者は、「そうなんです!どうしてわかるんですか⁉︎」と目の前の相手に対する信頼感を一気に強めます。
冷静に考えてみれば、何の悩みもないのに占いを頼る人はまずあまりありません。くわえて身近な人への相談や助言が期待できるなら、わざわざ占い師のもとを訪れないでしょう。
「深い悩み」や「他人に言えない秘密」は、残念ながらだれの人生にもたいてい勃発するものです。
身近な人が日々、どんな悩みや痛みをひとしれず抱えて生きているかなんて、案外だれもわかりえないもの。
だからこそ「どこかにいる」「何でもわかる」人類の叡智的な何かに、みな救いを求めたくなります。
バーナム効果を、そうした人間の本質的な弱さを知り尽くす詐欺師が使いこなすと、とんでもない惨劇に見舞われます。
いたって当たり前のことを言ってるだけに過ぎない相手を、とんでもない洞察スキルを持ち合わせているように過大評価してしまうリスクがバーナム効果にはあるわけです。
何かに深く悩んでいると、誰でもいいからとにかく、理解されたい!って思うよね。
そんな期待があるとなおさら、自分のことを言い当ててる!って感じてしまうかも?
『バーナム効果』の由来は、稀代のエンターテイナーの名言から。
バーナム効果そのものはだれにも起こりがちな傾向であり、それ自体をダメだ!とか悪い!とか非難されるべきものでは本来ありません。たとえば占い好きで、よりよく生きる上での助けになる人にとっては、占い師との信頼関係がスムーズに深まることは、悪いことではないからです。
占いや心理テストに限らず、エンターテイメント的要素が求められる場面では、バーナム効果を活用した方がより多くの集客と満足度が期待できます。
バーナム効果という名前の由来は、サーカス興行を成功させたP・Tバーナムの名言「we’ve got something for everyone」から来ているとされています。「だれにとってもいいものがここにある」「だれにでも当てはまる要点というものがある」などと和訳されているようです。
P・Tバーナムは2017年に制作されたミュージカル映画『グレイテストーショーマン』のモデルでもありますね。2018年アカデミー賞にノミネートされ、2019年度のゴールデングローブ賞では最優秀主題歌賞を獲得し、日本でも話題になりました。
またバーナム効果は、この心理現象を検証したのは米国の心理学者の名前にちなみ、「フォアラー効果」と呼ばれることもあります。
受け入れたい部分だけを受け入れ、他人に押しつけないことが吉!
誰にも当てはまることを自分のこととして受け入れやすいバーナム効果は、占いや心理テスト、性格診断などに反映されやすいことを解説しました。
また当然ながら、誰にも当てはまることは他人に対しても当てはまりやすいといえます。ですから性格診断の結果をもって、「あなたはこういうタイプ」と押しつけてしまうブームも起こりやすいわけです。
同時に人間は、自分がハマったものについては意気揚々と話したくなる習性もあるんですよね。
よって血液型による性格診断によるハラスメント(=ブラハラ)の被害を被りやすいのは、その大流行の影響を強く受けた世代よりちょっと後の世代が多いようです。
性格診断は、親しい間柄のフラットな関係性において、「そういうところあるよね!」と盛り上がる分には楽しいトピックではあるものの…
上司/部下など、相手の相手の意向や言い分を受け入れやすい上下関係があると「押しつけられた!」と不愉快な思いをすることにもなります。
どんな話題であれ、言われた相手がどう受けとめるか?の配慮を忘れずに、言葉を発することが大切と言えますよね。
たしかに『○○タイプっぽいね!』は他人に押し付けられたら、かなり嫌かも❗️…
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